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老朽化の福島労災病院 現在地での建て替え方針に 2017年に移転計画
移転計画のある内郷綴町の福島労災病院について、現在の場所で建て替えする方針となったことが3日までに、関係者への取材で明らかとなった。移転計画は同病院の老朽化に加え、東日本大震災による被災もあって、中央台飯野の医療創生大敷地内が予定されていたが、地盤の問題や環境の変化から変更されたという。
福島労災病院は1955(昭和30)年3月、常磐炭礦と関連産業の労働災害に対応するために設立された。現在は399床を有し、いわき市の地域医療を担っている。市は2017(平成29)年5月、同病院の移転を目指し、学校法人いわき明星大(当時)、同病院を運営する労働者健康安全機構との3者で基本合意を結んだ。
移転先の敷地は、いわき明星大(現・医療創生大)北側で、東京電力福島第一原発事故に伴い、同年3月まで双葉郡楢葉町の小・中学校の仮設校舎に使われていた。市は1985年に同大に土地を無償譲渡していたが、大学用地以外で使用する場合には、返還する必要があるとの契約を交わしていた。このため基本合意にあたっては、同大が市に移転予定先の土地を戻した上で、測量や不動産鑑定を行い、同病院に譲渡する一方、内郷の敷地は市が譲り受けることが決まった。
当時の想定では、新病院の建設に5年程度かかる見通しとされたが、その後具体的な動きはなかった。
2021(令和3)年の市議会2月定例会で、この問題が取り上げられた際には、病院側から地盤を調査した結果、安全性の確保に多額の費用がかかることが判明したため、他の候補地の可能性も含めて、移転の手法を再検討していると回答されたと答弁があった。
その上で、市として「今日まで病院の方針が決まらないことは、決して望ましいものではない」と苦言を呈していた。なお3者の基本合意は継続しており、今後の取り扱いも話し合われる。
関係者によると、新病院は敷地内の駐車場を活用して建設され、完成した後に元の病院を取り壊すという。同病院はいわき民報社の取材に対して、「新病院に関しては市と協議を続けているほか、運営母体である労働者健康安全機構とも検討を重ねている。今後の動向については、正式に決まり次第発表したい」とコメントし、明言は避けた。