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秋の叙勲 いわき市から7人受章 昌平黌総長・吉村作治さんに瑞宝中綬章

 政府は3日付で、令和5年秋の叙勲受章者を発表し、全国で4076人、県内から62人が選ばれた。いわき市在住では、早稲田大名誉教授・学校法人昌平黌総長の吉村作治さん(80)に瑞宝中綬章、保護司の細谷和正さん(72)らに瑞宝双光章が贈られるなど、各界で功労のあった7人が栄誉を受けた。
 「受章は率直にうれしい。これまでの調査・研究が認められたと思う。私のみならず仲間、教え子たちも同じでしょう」と話す、エジプト考古学の吉村さん。東京都文京区出身で、東京学芸大附属高、早稲田大第一文学部卒。「東京大学に進みたかったんだけど、縁がなくてね。少し回り道しました」と笑う。
 古代エジプトへの憧憬は、小学校時代にさかのぼる。いじめっ子から逃れるため、図書館でさまざまな本を読みふける中、「少年少女世界の名著」シリーズから、イギリス人考古学者ハワード・カーター著『ツタンカーメン王のひみつ』に出会った。ロマンあふれる内容に触発された吉村さんは、「エジプトに行って宝を見つけてやる」と心に決めたという。
 早大入学後、メソポタミアの源流・シュメール文明の専門家で、のちに同大古代エジプト調査隊長を務めた川村喜一文学部教授(当時講師)と、吉村さん含む5人の学生ともに1966(昭和41)年、念願のナイル川流域へ踏破調査を行った。
 それから50年以上にわたりエジプト調査に情熱を傾け、マルタカ南魚の丘遺跡「彩色階段遺構」、ルクソール西岸クルナ村貴族墓「約200体ミイラ」、ギザ・大ピラミッド「第2の太陽の船」など、数々の発見は学術的に高い評価を得ている。現在も未開の王墓発掘のため、各プロジェクトを始動させ、新たな成果発表に努めている。
 「人生は長いようで短い。夢を持ち、やりたいことをやればよい。やって駄目なら、やめてもいい。自分で決めることです」と若者にエールを送り、東日本国際大でエジプト考古学マネジメントコースで教べんを取るなど、時には後進育成のため、私費を投じて現地調査にも参加させている。
 一方で「シニア世代にエジプト考古学を教えてあげたい」と意欲にあふれる。これまでの著作は300冊を超え、近著は母を綴った『米子の教訓 エジプト考古学者を育てた母の言葉』がある。

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