プロ・アマ、ジャンルを問わず、全国から数多くのダンサーが出場する「第35回全国JDAダンスコンクール」(一社日本ジャズダンス芸術協会主催)が4日に都内で行われ、平字堂根町のダンススクール「エクスプレッションD.S」から参加した高校3年生の5人組ユニット「K・Group(グループ)」が、高校生部門で1位入賞を果たした。
5人は幼少時代から切磋琢磨してきた仲間であり、ライバル同士。受験勉強で間もなく一線から退くことを決めており、今回のコンクールをスクール最後(集大成)と決めて出場し、見事頂点を射止めた。
メンバーは、リーダーを務める中田瑞歩さん(18)=磐城=と、門馬春菜(17)=いわき湯本、久保田桜空(17)=磐城桜が丘、富沢咲(17)=磐城一、佐藤天音(17)=いわき総合=さん。
昨年の大会では2位受賞。健闘を称える周りの声をよそに、頂点を取れなかったことを悔やんだ。「全然惜しくもない2位だった」と中田さんは振り返る。ユニットが大切にしているのは、踊りのテーマを形にする表現力。体を大きく使い、表情豊かにみる人を物語に引き込む踊りを心がけ、日ごろから練習に打ち込んできたが、昨年は何かが足りなかった。
今年は能登半島地震の被災者へ応援のメッセージを届けたいとの願いを込め、「パルス 再生する鼓動」と名付けたステージを創り上げた。東日本大震災を経験して苦しい毎日を過ごし、復興へと歩む様々な情景を間近にしてきた自分たちだからこそできる、再生を願う〝祈りの踊り〟を2分20秒に詰め込んだ。
手づくりの衣装を身にまとい、地震で壊れた時計やグラス、オルゴールに自らを重ね、再生し、新たな姿で生まれ変わる情景をコンテンポラリーで表現し、昨年の借りを返す最高の舞台を披露した。
プロダンサーの登竜門として権威のあるコンクールだが、その名の通りジャズダンスがメーンという。スクールを主宰し5人を指導してきた神永宰良さん(62)は「創作は完全にアウェー。逆境の中でも芸術性、表現力の高さが評価されたことが嬉しい」と教え子たちの頑張りをたたえた。
5人はいわき芸術文化交流館「アリオス」で開催される「第10回いわき文化春祭り」に参加し、9日午後4時半ごろから今回のステージを〝凱旋〟披露する予定。
(写真:JDAダンスコンクールで1位に輝いたメンバー)
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