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いわき市の公共施設 2060年までに半減可能性「住民には丁寧に説明へ」
内田市長は28日、いわき市の公共施設を適正に維持するための「個別施設計画」を発表し、4月1日現在の1281カ所から最適化を図っていき、2060年ごろには約半減の673カ所まで縮小する可能性を示した。
この数字は「計画で『あり方見直し』および『廃止』等とした施設を、すべて廃止すると仮定した場合」(内田市長)だが、人口減少による税収減に加え、14市町村が合併した広域都市のため同じような公共施設があることから、地域住民と対話しながら対応を協議していく。
個別施設計画については、同日の定例記者会見で明らかにした。いわき市の公共施設1281カ所は主に学校や支所、市営住宅、集会所、観光誘客施設などが該当し、県内最多のため維持費が他の自治体よりかさんでいる。また全体の4割が1981(昭和56)年以前の旧耐震基準で整備されており、老朽化が著しい点が問題となっている。
今後は市の人口減少も予想され、1日現在の31万8946人に対して、2060年には17万3782人まで落ち込むと推計。財政状況の悪化から、公共施設を保つことによって、他の政策が実行できない状況が考えられる。
すべてを廃止し、673カ所としても、年間128億2千万円の削減にとどまり、残りの施設の維持に向けては年間22億8千万円の不足が生じるという。内田市長は「『あれか、これか』の視点で、ある程度の案を示しながら、住民の皆さんには丁寧に説明していく」と語る。
その上で「施設の合理化は進めるが、質の高いサービスは堅持する『いわきモデル』を構築する」と強調。共有スペースやテレワークの活用、重複する担当の一本化、沿岸部や中山間地の業務は現地でオフィスを借りるなど、新たな選択肢を提示した。
ただ行政機関の複合化や、集会所の地区への譲渡など現実的な方針の一方で、観光誘客施設等の民間移譲はどこまでできるかは分からず、施設そのものが無くなるケースも想定される。
(写真:個別施設計画について説明する内田市長)