ふくしま海洋科学館「アクアマリンふくしま」の企画展「最高だっぺよ!常磐の肴」が6月1日から、本館1階ホワイエで始まる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故により13年経ったいまも、風評被害などの影響を受けている福島県の水産業を応援する企画で、いわき市在住のフリーカメラマン中村靖治さん(52)=埼玉県出身=の協力を得た。
震災後から現在に至るまでの漁業、福島の海にかかわる人々、彼らの内面を撮影した作品約100点掲示。福島県の現状をデータで示すとともに、近年、本県沖で漁獲量が飛躍的に伸びているイセエビなども実際に展示し、環境保全に向けたメッセージも発信している。10月31日まで。
同館では、モニタリング調査(過去13年間で対象魚265種、7万7千検体以上を調査。毎週100検体以上を検査して最新情報を公表している)とは別に、独自に福島県の海産物などの放射性物質を測定。「調(た)べラボ」と題し、来館者に信ぴょう性の高いリアルタイムな情報を開示するとともに、試験操業で漁獲した海産物の試食も行ってきた。
一方、本州有数のシロザケの遡(そ)上河川として知られる、双葉郡楢葉町の木戸川の復興に向け、木戸川漁業協同組合と共同で、シロザケ、さらにヤマメやイワナの放射性物質調査を実施。サケや受精卵を館内に展示するなどし、来館者に現状と魅力を発信してきた。
その〝動き〟を逐一追ってきたのが、フリーカメラマンの中村さん。中村さんは報道にも深く携わり、水産業関係者や同館の職員、イベントの情景を撮影し続ける傍ら、個人としても復興写真集・証言集を有志と共に編集するなど、復興支援に携わってきた。
今展では膨大な資料の中から、同館がかかわってきた木戸川漁協の取り組みのほか、試験操業や海に関するイベントの情景、取材で心を通わせた漁業関係者の生き生きとした表情を切り取った写真が飾られている。
中村さんは「震災後の支援に対する感謝の気持ちを込めて、福島の日常を撮影した。企画展が被災地へ関心を持つきっかけになれたらうれしい。食べて買って福島の水産業を盛り上げましょう!」と来館を呼び掛けている。
(写真:1日から始まる企画展の会場)
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