本年度から福島県で固定開催となった「全国高校総体(インターハイ)」のサッカー男子の試合は27日、いわき市と双葉郡広野町、楢葉町で始まった。いわき市ではハワイアンズスタジアムいわき(ハワスタ)、アロハフィールドを会場としている。
このうち27日にハワスタで行われた1回戦・第1試合には、元日の能登半島地震で被災した石川県の代表として、鵬(おおとり)学園が登場。東日本大震災・東京電力福島第一原発事故による被災を乗り越え、復興が進むいわき市で、ふるさとに勇気を与えようと選手たちは躍動。宮崎県代表・日章学園ときっ抗した試合を繰り広げ、互いに2点を取り合ってPK戦にもつれ込んだが、惜しくも1―3で敗れた。
鵬学園のある石川県七尾市は震度6強の激しい揺れに見舞われ、校舎やグラウンド、寮の周辺が液状化の影響を受け、練習ができなくなった。赤地信彦監督は「全国の皆さんから寄せられた支援のおかげで、私たちは戦うことができた。大変感謝しています」と話す。
自宅待機を余儀なくされたイレブンに向け、新潟県中越地震の被災体験から、親交のある帝京長岡(新潟県長岡市)をはじめ、県内外の多くの学校が練習のため受け入れてくれた。
全国から物資や支援金も届いたといい、6月の石川県高校総体決勝では、強豪・星稜に逆転勝ちを収めて初のインターハイ県代表を決めた。「どうしても最後は走り負けてしまった。本当は勝ちたかったですが、これを糧に冬の選手権に挑みたい」と力強く語る。
竹内孝誠主将(3年)は「インターハイに向けて、被災された方からも多くのメッセージをいただいた。地元ではまだまだ苦しい生活が続いている。少しでも力になれるよう、これからも頑張りたい」と前を向く。彼らにとって、同じ被災地で得た経験は決して小さくない。
(写真:熱戦を繰り広げる鵬学園と日章学園)
ニュース