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県高校演劇コン 日本一2度の指導者・石原哲也さん(中央台)冠した賞創設へ

 「第78回県高校演劇コンクール」(県高校演劇連盟主催)は11月29日に会津若松市の會津風雅堂で開幕する。同コンクールの出場校のうち、優れた脚本を書き下ろした生徒や指導者に贈られる「創作脚本賞」に本年度から、〝高校演劇界のレジェンド〟石原哲也さん(本名・児玉洋次さん)=83・中央台=の名が冠されることとなった。すでに関係者らの内諾を得ており、今月中旬に開かれる県の理事会で正式決定される。
 石原さんは1978(昭和53)年に小名浜(現小名浜海星)で初めて演劇部の顧問となり、84年の作品で初の全国の舞台へ。90(平成2)年の作品では湯本(現いわき湯本)も全国に導いた。
 さらに93年に同校で生み出した「俺たちの甲子園」が、日本一となる全国最優秀賞を獲得。2001年、小名浜在職中に創作したという教諭として最後の作品「チェンジ・ザ・ワールド」で、再び生徒たちと日本一の栄誉を手にした。
 24年の指導歴で、生徒たちを5度の全国の舞台へ、そして2度の日本一に輝いた。さらに引退後は卒業生たちと市民劇団「いわき青春座」も立ち上げ、いわきの演劇文化の醸成に寄与。功績が評価され02年には、いわき民報賞も受賞している。
 県高校演劇連盟の事務局長を務める小林俊一さん(磐城高教諭)は、「石原作品の魅力は演出もさることながら、脚本の力によるところが多い。メッセージ性が強く、観客の感情を揺さぶる」と話す。実際に石原さんは「それぞれに如月」(91年)をはじめ、前出の「俺たちの~」「チェンジ~」の3作品が全国の舞台で創作脚本賞を受賞している。
 石原作品の圧倒的な強さに加え、後進の指導にもまい進した貢献度の高さから、理事会では何度も「石原哲也創作脚本賞」の案が出ていたという。今年の春、本人の承諾を得られたことから実現に向けて協議が進んだ。小林さんは「石原先生の作品は退職から20年経った今も、高校演劇界全体に有名・無形両方の影響を残している。石原哲也の名前をこれからも大切に残していきたい」と話している。
 一方で、「『生きている間だけにしてくれ』っていって承諾したんだ。それならいいよってね」と冗談めかして話す石原さん。自身の作品ではエンターテイメント性を重視し、「笑いあり、涙ありの大衆演劇」のスタイルを貫いてきた。「さまざまな脚本があっていい。自分は庶民的な『定食屋スタイル』が性に合っていただけ」と語る。
 昨年4月、「いわき青春座」の公演で引退を宣言してからは、けい古の現場からは一歩引いて、静かな毎日を送っている。少子化で演劇にたずさわる高校生が減ってきたことを憂い、「世代の違ういろいろな役どころを演じることで、相手の立場に立って多角的にものを考えるようになる。演劇を通して養われる創造力や客観性は、多様性が叫ばれるいままさに必要なものでは」と高校演劇の再燃を願っている。
 (写真:高校演劇界をリードしてきた石原さん)

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