春陽会員の画家峰丘さん(76)の通算93回目となる個展「峰丘と花そしてパプア」が11日、好間町北好間字上野の曹洞宗洞菊山・龍雲寺(鮫嶋大仙住職)の禅ホールで始まる。21日まで。今年制作し、市美展や春陽会展などに出品されたF100号の自画像「2024-聞こえるかい? カザルスの『鳥の歌』」をはじめ、平和や鎮魂の祈りを込めた50点を展示する。
峰丘さんは1948(昭和23)年、いわき市生まれ。74年からメキシコに留学し、現地の大学で絵画を学んだ。南米独特の死生観や文化に影響を受け、金地をベースにした大胆で鮮やかな色彩の作品を制作。いわき市や都内をはじめ国内外で個展を開いている。
東日本大震災後は、犠牲者への鎮魂の祈りを表現した南米の花「ガレアナ」や原発事故への怒りを込めた「深海魚」のシリーズを精力的に描いた。その後も新型コロナウィルスによる混迷、ロシアのウクライナ侵攻をはじめ各地で繰り返される戦争……と世界は混沌を深めており、峰丘さんは個展開催時に知り合ったウクライナの友人とも連絡が取れないままという。こうした現況をとらえながら新作では「2024-聞こえるかい~」では哀しみに打ちひしがれる自画像が描かれている。
同寺は2021(令和3)年に檀信徒のコミュニティスペースとして「禅ホール」をオープン。こけら落としとして峰丘さんの個展を開催した。今回で3回目を数え、同寺では今後10年にわたって峰丘さんの個展を毎年開催する予定で、絵から放たれるエネルギーを受け取ってもらいたいという。
「戦争に飢餓、新たな病のまん延に苦しめられる人々の姿に、暗澹(たん)たる思いでいるが、今こそアートの力で元気を取り戻したい」と話している。午前10時半~午後4時半(最終日は午後4時まで)。
(写真:個展の開催をPRする峰丘さん)
ニュース