ニュース
いわき市出身・笠木泉さん 戯曲「海まで100年」岸田國士戯曲賞の最終候補に
いわき市出身で、毎月第2土曜日発行のいわき民報で「わたしのいわき通信-演劇と猫、それからビール-」を連載している、俳優で劇作家、演出家の笠木泉さん(49)が脚本をつとめた戯曲「海まで100年」が、第69回岸田國士戯曲賞の最終候補作品に選ばれた。
「演劇界の芥川賞」と称される栄誉ある賞で、ノミネートは2021(令和3)年に発表した戯曲「モスクワの海」に続いて2度目。選考会は3月12日に都内で行われる。
岸田國士戯曲賞は井上ひさし、つかこうへい、野田秀樹、渡辺えり子、鴻上尚史、松尾スズキ、三谷幸喜、宮藤官九郎さんら名だたる作家陣が受賞しており、本県関係・ゆかりでは1993(平成5)年の第37回で柳美里さん、95年の第39回で平田オリザさんらが栄誉に輝いた。
また現代美術家、演出家、劇作家、アートパフォーマーの飴屋法水さんが、東日本大震災を経験したいわき総合高の生徒たちと対話を重ね、実体験などから生まれた「ブルーシート」も、2014年の第58回で受賞し大きな反響を呼んだ。
今回ノミネートされた笠木さんの作品「海まで100」年は、東京・大黒ふ頭で働く男女三人が、苦しい状況の中にある大きな違和感や徒労感を持ちながらも、ささやかな希望を見つけて互いに手を差し伸べて生きていく物語。
主宰する演劇ユニット「スヌーヌー」の演劇公演で、昨年12月に神奈川県横浜市の象の鼻テラスで上演された。笠木さんの物語には必ず故郷の福島が登場することも話題となっており、今回も登場人物の女性が辛い日々を捨て、実家のある福島の海に旅に出るシーンが描かれている。
笠木さんは「いつもいわき民報を読んでくださる皆さんへ。この度、昨年末にスヌーヌーで上演した戯曲『海まで100年』が第69回岸田國士戯曲賞の最終選考作品に選出されました。このような歴史ある賞にノミネートしていただき大変光栄です。いつかいわき公演ができることを目標に、これからも演劇活動に邁(まい)進します。どうぞよろしくお願いいたします」と本紙にコメントを寄せた。
(写真:戯曲「海まで100年」の舞台=笠木さん提供)