JRいわき駅に隣接した商業施設として、1月にオープンした「エスパルいわき」の3階に、平の街並みを中心とし、いわき市やその周辺を鳥観図でとらえた「いわき平時空マップ」(縦2・7m×横6m)が飾られている。
マップは名所や史跡の紹介にとどまらず、平駅(現・いわき駅)や、今はなき百貨店の大黒屋といった建物に加え、いわき地方の偉人や各地に残る伝承など、文字通り時空を超えた構成となっており、多くの注目を集めている。この少し風変わりな地図には、さまざまな立場から、地元を盛り上げようとする人たちの気持ちが込められている。
きっかけは、平字三町目でイタリアンレストラン「La Stanza(スタンツァ)」や、「ゲストハウス&ラウンジFARO(ファロ)」を営む北林由布子さん(52)が、自分の街の魅力を伝えたいと感じたことだった。仲間たちと相談する中で、昔の風景を取り入れた地図作りを決めた。
イラストレーションを担当したのは、デザインなどを手がける藤城光さん(48)=平。地図に載っているアイテムは280以上で、例えばいわき駅一つとっても、現在のエスパルいわきから、平駅の頃のヤンヤンや、その前の重厚な駅舎が再現されているほか、いわき市一円から双葉郡、南相馬市まで描かれている。
左右には、いわき七浜で行われていた捕鯨からクジラと、大久町で化石が見つかった首長竜のフタバスズキリュウが鎮座し、沿岸は潮目の海として豊富な漁場が表現されている。また真ん中の磐城平城には、磐城平藩を治めた4家の家紋が入った「いわき絵のぼり」がはためている。
2月28日にはファロで、いわき平時空マップを囲む会が開かれ、市民ら約30人が参加した。縮小された地図を前に、青春の思い出から付け足したい話題まで、さまざまなテーマで花が咲き、予定を1時間以上も超える盛り上がりとなった。
北林さんは「この地図は人によって、刺さるところがまったく異なる。エスパルという新しい商業施設で、若い人や観光で訪れた人にも見てもらうことで、まだまだ知らないこの街に触れてほしい」と笑顔で語った。
いわき平時空マップは、仙台ターミナルビルのホームページ<こちら>にアップロードされている。
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