2014.04.14
3年前の7月に弊社が発行した東日本大震災特別報道写真集『いわきの記憶』。8刷を重ねて完売、在庫はどこにもないが、今も時折、購入希望の問い合わせが入る▼が、発行に携わりながら、自身はこの1年、1度も開くことはなかった。この地に生きる身としてあの写真集は、月日を経るほど、前に進むためにも、見たくなくなっているのが事実だ▼そんな折、市発行の「東日本大震災・いわき市復興のあゆみ2013」を手にした。じっと見つめてしまったのは、背表紙のいわき駅前大通りの2枚の写真。路面が見えぬほどの市民で埋まった昨夏のいわきおどりのシーンの上に配されているのは、人1人車1台いない原発事故直後の写真▼3年前のあの時、多くの人が当地を離れ、また残った人も外出がままならない生活を余儀なくされた―その記憶がいや応なしによみがえる。やはり震災は「忘れたい」で済ませてはいけない事実なのだと突きつけられた思いになった。