2019.09.27
昭和50年代の初め頃だと思うが、ある店内の壁に独特のひげ文字で書かれた印刷物を目にした。「大酒は呑むな」「人には馬鹿にされていろ」など、格言らしきものが羅列してあった▼その名は「親父の小言」といった。後年、この文言に興味のある方と一緒に実物とされる書を所有する浪江町の大聖寺を訪れた。その寺院の広間に掲げられていた額には、各一文が女性文字を思わせる小筆で書かれていた▼その書体からはこれまで広く伝わる、いかつい親父のイメージとはほど遠く、どのような経緯であの書体になったかはわからない。あれから東日本大震災が発生、原発事故などの影響を受けたであろう大聖寺の状況も知らぬまま、現在に至っている▼最近、なりすまし詐欺の被害防止にこの格言が活用され脚光を浴びているが、さらに今回、この親父をイメージした一般男性のモデルを募集している。強い父権を持って、はびこる悪を退治してもらいたい。