2022.02.12
4回転も4回転半も採点上は大きな差がないのに、失敗するリスクを覚悟でアクセルに挑戦した北京冬季五輪での羽生結弦選手を見て、1984年ロサンゼルス五輪男子体操鉄棒の森末慎二選手を思い出した▼当時は現在と違い10点満点が最高で、森末選手は団体の規定・自由と種目別個人のすべてで10点満点をマークする演技で金メダルを獲得した。この大会は難しい大技に挑むよりミスなく無難に演技し、着地をピタリ決めれば10点満点が出た(男女合わせ16人で44回!)▼逆にいえば10点満点を出さないと金メダルも危うい状態。森末選手は降り技に本人が言う〝逃げ〟の伸身2回宙返りを決めて優勝。勝負技の3回宙返りは敢えて封印した。たった1度の五輪での決断だった▼翻って、既に2個の五輪金メダルを手にしている羽生選手にとって、この大会は何より4回転アクセルを成功させた選手としての〝名〟を求めたわけだ。凡人には測りしれない葛藤なのだろう。
4回転も4回転半も採点上は大きな差がないのに、失敗するリスクを覚悟でアクセルに挑戦した北京冬季五輪での羽生結弦選手を見て、1984年ロサンゼルス五輪男子体操鉄棒の森末慎二選手を思い出した▼当時は現在と違い10点満点が最高で、森末選手は団体の規定・自由と種目別個人のすべてで10点満点をマークする演技で金メダルを獲得した。この大会は難しい大技に挑むよりミスなく無難に演技し、着地をピタリ決めれば10点満点が出た(男女合わせ16人で44回!)▼逆にいえば10点満点を出さないと金メダルも危うい状態。森末選手は降り技に本人が言う〝逃げ〟の伸身2回宙返りを決めて優勝。勝負技の3回宙返りは敢えて封印した。たった1度の五輪での決断だった▼翻って、既に2個の五輪金メダルを手にしている羽生選手にとって、この大会は何より4回転アクセルを成功させた選手としての〝名〟を求めたわけだ。凡人には測りしれない葛藤なのだろう。