2022.03.01
▼戦地に向かう夫との別れを悲しむ母子の姿、地下に身を潜め「死にたくない」と怯える子ども。国際社会の反対を押し切り、大国の元首が下した侵略行為に強い怒りを覚え、平和な日常が突如奪われた市民の心情を察し、深い悲しみに包まれる▼ウクライナは侵略と民族独立運動の歴史を幾度も繰り返し、露対西欧列強の緩衝国としても複雑な事情を持ち合わせている。旧ソ連崩壊後にNATOが東進し、さらにウクライナを抱き込むことへの警戒感が背景にあるとはいえ、外交をあきらめ一線を越えた愚挙は真に許しがたい▼ゼレンスキー大統領や首都キエフの脱出がかなわない在留邦人らのSNSに目を通し、一刻も早い終息を願う日々。戦争は何の罪もない市民を傷付けるばかりで、後には苦しみ悲しみしか残さない。先の大戦で我々はそう学んだはずだ▼遠い土地の関係のない出来事ではない。隣国が起こした暴挙と認識し、何ができるかを考えなければならない。