2022.03.29
幼少のころ、週末になると母方の実家に遊びに行き、祖父母と遊んだ。楽しいひとときに終わりを告げる合図が、大相撲の中継。記憶に残るのは、巨漢の小錦と千代の富士の一番。手に汗握りテレビにかじりつき、〝ウルフ〟が勝てば祖父と喜び、負ければしょんぼり「さぁ帰ろう」となった▼筋骨隆々で凛々しいいでたちの小兵(実際は185㌢と長身だ)が、巨漢を次々と打ち負かす姿に正義の味方を重ねた。突っ張りが身上の寺尾、強烈な張り手を武器にした旭道山の活躍には心が躍った▼現代の大相撲では小兵とされる若隆景が、本県出身として50年ぶりに幕内優勝を飾った。新関脇の優勝は不世出の大横綱双葉山以来86年ぶりという記録ずくめで、祖父の元小結若葉山は双葉山の弟子という縁も▼こんなに心が沸き立つ優勝を見たのは、いつ以来か。幼少時代の抄子のように、若隆景の大活躍は本県の子どもたちにも力となったはずだ。夏場所の開幕が待ち遠しい。