2022.08.26
先日、平のある区内会集会所で「十一面観音菩薩例大祭」が行われた。小ぶりの本尊は敷地内のお堂に安置され、その隣には鳥居が立つ神仏混淆の趣があった▼本来なら、子どもたちの夏祭りを兼ねて縁日の雰囲気を演出するのだが長引くコロナ禍で、今年も区内役員のみが出席した簡素な法要となった。それでも地域の安全と住民の安寧を願い、合掌する姿は伝わるものがあった▼読経を終えた和尚さんが「皆さん、十一面観音さまのありがたさを知ってますか」と問いかけた。それを聞き、こちらも「はてな」と首を傾げた。その昔、奈良県桜井市の聖林寺を訪れ、「国宝十一面観音立像」を実際に見ているのだが▼この天平時代の傑作彫刻を歌人・書家会津八一、作家和辻哲郎らが自著で取り上げている。この影響からか、単に古美術鑑賞の意味で見たに過ぎないと少し恥じ入った。宗教、信仰のあり方が社会問題になっているが、一連の「はてな」感はぬぐえない。