2013.08.10
市暮らしの伝承郷で現在開かれている「いわきの昔野菜展」は、市内の食文化にスポットを当てた同施設ならではの好企画といえよう▼会場では山間部を中心にわずかに栽培されている小白井きゅうり、十六ささげ、むすめきたか、ごんぼっぱ、明治にらといった聞き慣れない品種の野菜を写真パネルで解説している▼野菜は見栄えがよく、味にくせがない、万人に好まれるよう品種改良が重ねられていく。するとそれ以前の野菜たちは淘汰される運命にあるのだが、損得抜きで祖先から受け継いだ昔ながらの野菜を絶やさず栽培し続ける人たちのおかげで〝昔野菜〟が今に伝えられている▼伝承郷の古民家・旧猪狩家前にある畑ではいわきの昔野菜が実際に栽培されている。写真だけでなく生の状態を見て、手にとって、においをかいでみるといい。できれば昔野菜を材料にした家庭料理を作ってもらい、どんなものか試食してみたいと思った。味わってこその食文化だから。