2014.03.07
「季節外れの花が咲いた」「珍しい実を結んだ」。このような情報が読者の方から寄せられることがある。定位置にある植物は確認できるが、野生動物に関してはそうはいかない▼以前、住宅の裏山にサルが出没してると聞き、急ぎ現場に向かった。丸々した体ながら巧みに木の枝を伝い、斜面を駆け回る俊敏な動きに翻弄され、とうとうシャッターチャンスを得ることができなかった▼うららかな陽気の4日午後、ある取材途中、勿来海岸にアザラシがいるとの情報を聞き、急きょ足を運んだ。砂浜に横たわり、波に身をまかせる黒い生き物。接近しても警戒する様子もなく、無事撮影できた▼帰社後、アクアマリンふくしまのスタッフに確認を依頼したところ「キタオットセイ」の成獣と分かった。集団行動が多いが、老齢になると単独になることもあるという。群れず悠々と大海原に消えていった海獣。それに比べ、狭い陸上で殺戮し合う人間の何と愚かなことか。