2010.05.13
毎夜、カエルの大合唱を聞きながら眠りにつくこの季節、生命科学の分野でまた新たな研究成果が発表された。カエルの全遺伝情報(ゲノム)の解読に成功したというものだ▼両生類のゲノム解読は初めてのことで、魚類が陸上へと進出した進化のプロセス解明に役立つほか、手足や網膜などを失っても再生する両生類の能力の仕組みが分かれば、再生医療や新薬開発への貢献も計り知れないという▼傷ついたり失われた身体機能を回復させる再生医療。先行して驚異の医療を実現させているものもある体性幹細胞の使用に加えて、胚性幹細胞(ES細胞)や新型の人工多能性幹細胞(iPS細胞)の万能細胞を使った研究が広がりをみせている▼いまだ治療法の見つかっていない病気も多いが、悪い部分をそっくり代えてしまう再生医療はまさに「夢の医療」となろう。そこにカエルのゲノム解読が寄与するとなれば、騒々しいほどの鳴き声もありがたく聞こえるに違いない。