2010.08.09
「未成熟な親」「親のこと人任せ」――先週半ばの全国紙社会面に並んだ2つの記事の見出しだ。片方はわが子を放置死させた20代の母、もう一方は113歳の母の所在を30年以上も確かめようとしなかった子を指している▼いずれも、少子高齢化の弊害を凝縮したような事象だが、家族は人間社会の原点であり、だれにとっても唯一無二の存在のはず。なのになぜ?の思いが尽きない▼その家族がうまく機能できない社会は何かおかしくはないか。変な言い方だが、日本とはこんなに普通に奇怪な事件が頻発する国だったのか。戦後65年、平和と豊かさを追求してきた結果がこれだとしたら、日本は針路を間違えてきた気がしてならない▼経済や科学技術、物質文明の発展が、人間から支え合う心を奪ったのかもしれない。その反省から生まれた言葉が「21世紀は心の時代」だと思ったのだが、新世紀10年目の今、どうも有名無実の感がぬぐえないのは、自分だけだろうか。