2010.11.22
4月から計12回、NHK教育で放映された番組に「ハーバード白熱教室」がある。米ハーバード 大政治哲学教授サンデルの人気授業「正義」を公開したものだ。夏には氏が来日し、東大でも同様 の授業を行った▼その講義録が10月出版され、手に取った。日常生活で直面する問題を学生たちに 「何が正しいのか」「自分ならどうする?」と問い自由で活発な議論を見事に導く。「殺人の正義 」や「命の値段」「富は誰のものか」といったテーマを、議論・対話形式で展開させていくのだ▼ 何千人もの受講希望のあった東大での授業に幸運にも参加できた知人は「多様な意見に耳を傾けた 上で、自分の芯を持つことができるようになり、正義とは、を常に考えるようになった」と話す▼ これらから実感したのは、対話形式の授業が引き出すものの大きさだった。日本人は議論が苦手と もいわれるが学び考える時に必要なのは、こうした意見のぶつかり合いに相違ないと思った。