2012.04.13
保育園児が練習を重ねてきた和太鼓演奏を取材する機会がある。小さいながらも友達と息を合わせ、真剣に太鼓をたたく。続いて「ふるさと」を合唱する▼今ではあまり耳にすることも少ないが、歌詞からは美しい山河を思わせる日本の原風景や父母を案じ、友を思う心情が伝わってくる。歌は「山はあおきふるさと 水は清きふるさと」で結ぶ▼昨年4月11日に発生した震度6弱の地震から1年がすぎ、土砂崩れで住民3人が犠牲になった田人町石住地区で先日、合同追善式が執り行われた。眼前に迫る削り取られた山肌、いまだに残る災害がれきが被害の大きさを物語っていた▼当時16歳の娘さんを失った父親があいさつの中で「震災がなければ、水や自然に恵まれた穏やかな地域だった」と無念さをにじませた。「如何にいます父母/志を果たしていつの日にか帰らん」。両親は亡き娘に涙し、夢半ばの少女の人生を奪った。理不尽な仕打ちをするものだ。