2012.07.21
人の涙など、普段の生活では滅多にお目にかかれるものではないが、今行われている高校野球の現場では、うれし涙や悔し涙が日常的に交錯する▼試合中に繰り広げられる選手たちのプレーにはもちろん共感を覚えるが、試合後に見せる、いつもの高校生に戻ったときの表情もまた、いいものだと思う▼あるチームのことだ。上位進出が期待されながら初戦でいいところなく敗れ去った。試合後の球場の外で、応援に来てくれた家族と選手が対面し、3年生が感謝の言葉を述べる。ある選手は「親に反抗したこともあったのに、朝起きるといつも弁当が用意されて、ユニホームもきちんと折りたたまれていた。送り迎えもしてもらって迷惑もかけた。そんなお父さん、お母さんに甲子園に出場して恩返しをしたかった」と涙声であいさつした▼なかなかいいセリフだと思った。こんな立派な感謝の言葉を言える息子に育ったのだ。親たちも満足したのではなかったかと思った。