2013.02.02
東京五輪マラソン銅メダリストの故円谷幸吉選手は、金メダルを期待されたメキシコ五輪が開催される年の1月に自殺した▼成績不振に陥り、人一倍責任感が強い彼は過度の期待に耐えられなかったと言われている。その中に、練習に専念するため恋人と別れさせられたというエピソードがある。自衛隊員だった彼にとって上官の命令は重かった▼追い詰められた日々の中、恋人と過ごす時間は何よりの救いであっただろう。マラソンで円谷のよきライバル君原健二さんは八幡製鉄の社員だったが、東京五輪の惨敗後、結婚を機に復調してメキシコ五輪で銀メダルを獲得したのとは対照的だった▼今の時代ならば、恋愛にうつつを抜かすのも、それを励みに頑張るのも、それは選手自身の自覚と責任において判断すべきことだと言える。これは恋愛に限ったことではない。「(指導者に)やらされる」のではなく、自ら考えて取り組む、自主性と強い意志が必要なのだと思う。