2013.02.06
受動喫煙などを防止する健康増進法の制定によって、たばこ離れが進む中、その傾向に拍車が掛かるような裁判記事が全国紙に載っていた▼マンションのベランダでたばこを吸っていた男性が、上の階の住人から「受動喫煙で健康を害した」と訴えられ、裁判所はこの男性に5万円の支払いを命じる判決を下したのだ▼増進法の施行後、公共機関はもちろん、人が集まる民間施設でも禁煙、分煙の徹底が図られている。喫煙に対する周囲の目が厳しさを増す中での今回の判決に、禁煙に踏み切る人が増えるのではないか▼他人の吸う煙で健康を損ねるのは嫌だと、語気を強める嫌煙家がいる一方で、たばこを心から楽しむ愛煙家もいることも忘れてはならない。禁煙運動は世界的な広がりを見せているが、喫煙所でたばこを吸うなど、ルールを守り紫煙をくゆらせる愛煙家にまで、過度の嫌煙権を押し付けるのはどうか。現行の制度では、まずは分煙の徹底が好ましいのでは。