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2014.01.17

往年の映画スター市川雷蔵の主演作に『陸軍中野学校』がある。実存した諜報機関に属する冷徹な国際スパイを演じたもので、時代劇の多い雷蔵には異色の現代物である▼名前を変え、存在すらも抹消し、命令に従い敵国と通じた恋人を非情にも毒殺する第1作から中国大陸での暗闘、二重スパイの摘発、さらに開戦直前の息詰まる防諜戦と5シリーズが製作され、今もDVDで見ることができる▼中野学校出身者で昭和49年、潜伏地フィリピン・ルバング島から帰国した小野田寛郎さんが亡くなった。戦後30年、当時大きく報道された。服装こそ古めかしかったが元上官から任務解除を告げられ、凛とした表情で敬礼する姿を覚えている▼その後、ブラジルで牧場を営み、福島県内で青少年育成の私塾を開いたりと精力的に活動された。以前、平のしゃくなげ会館で小野田さんの講演会があった。満場の聴衆を前に柔和な表情で日本の行く末に思いを述べていたことを思い出す。

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