2014.02.24
ひと月が28日、もしくは29日しかない2月を、人は短いという。確かに短い。特に今年は、穏やかな節分の翌日は厳寒の立春、そして大雪に暴風雨。思い通りに事が進まぬまま、最終週を迎えてしまった人も多いだろう▼1月に他界した詩人吉野弘さんに「二月の小舟」という作品がある。8行の詩で「冬を運び出すにしては小さすぎる舟です」で始まり「春を運び込むにしても小さすぎる舟です」と続く。短いではなく小さいという表現が、寒さに耐えじっと春を待つ人々の姿につながった▼その言葉の妙味に感嘆する一方、「二八」という言葉が浮かんだ。年末年始後の2月、中元期の反動が来る8月に景気が動かないことを指す俗語だが、なるほどこの視点からも2月は、短いではなく小さいといった方がふさわしい感じを得た▼だが2月を経ずして春は来ず。短くても小さくても、明るい未来を思い描き、強い気持ちで乗り切るのが2月―これは受験生へのエールとしよう。