2014.04.21
よく訪ねる公民館に、地域の人の作品であろう押し花が飾られていた。「父子草」とある▼母子草ならぬ、父子草もあったのかと、小さな褐色の花にしばし見入った。その地味な姿が、何だか仕事一辺倒で家庭での存在感が薄い、少し昔の「日本のお父さん」に重なった▼いわき出身の福島大特任研究員開沼博さんと作家大野更紗さんによる対談・鼎談集『1984フクシマに生まれて』の中に「イキメン」なる語を見つけた。使ったのは、2人が招いたゲストの駒崎弘樹氏。病児保育に関するNPO法人を立ち上げた34歳の起業家だ。駒崎氏によれば、イキメンとは「イク(育)メン」の進化した姿という▼イクメンは子の成長につれ、子育てを通した地域社会へのかかわりから、そこでの活動が増えていく。それがイキメン、つまり「域メン」だ。このように仕事と家庭、そして地域と、父親の役割の幅が広がる現代、地味な父子草のイメージとは違うお父さんが増えてきた。