2014.08.04
大人向けのリカちゃん人形専門店が東京・日本橋にオープンしたという。半世紀近く前、初代のリカちゃんで遊んだ身としては、ちょっとのぞいてみたいような思いにとらわれた▼リカちゃんを生んだのは、玩具メーカーのタカラ(現タカラトミー)。創業者は三和町出身の佐藤安太氏である。氏の著書で、リカちゃん開発のエピソードを読んだことがある。それは「女の子にとって自分の分身のような身近な存在にすること」▼思えば幼少時、親類宅にあった大きめの美しいフランス人形は、日本の一般市民では絶対に着ることのないようなドレス姿で、触ることにさえためらいを感じた。だが、リカちゃんは、自分が身につけてみたい服をあれこれ着せ替えることができた▼今、リカちゃんは4代目。その間、顔も雰囲気も変化してはいる。が、身近さは変わらず、これが長く愛されてきた理由に相違ない。何が人々の心に届くか、佐藤氏には最初から見えていたのだろう。