2014.09.05
子どものころ、夏が近づくたび「日本脳炎」という病名をよく耳にした。蚊を媒介に発症すると高熱を出し、危険な状態になると言い聞かされ、恐怖を覚えたものだ▼東京・代々木公園周辺を訪れた人たちが感染したデング熱。発熱、関節痛などを引き起こすデングウイルスを持つ蚊に刺されたことが原因というが、蚊の発生経緯も分からず国内での確認例もこれまで60人近く増えている▼同公園内では薬剤散布、入園制限の対策を講じているが不安は消えない。自衛策の一例だが、海外渡航の多い作家曽野綾子さんは熱帯諸国から帰国すると、持ち帰ったバッグなどを開け、殺虫剤を振りまくという新聞コラムを読んだことがある▼地球温暖化が叫ばれて久しく、交通手段の発達で世界間の距離もずいぶん短縮された。何らかのはずみで紛れ込んだ生物が耐寒性を強め、国内で生きながらえることもある。文明発達の裏で何かが狂い始めている、とは考えすぎか。