2016.03.25
平の街なかに蔵を改造した飲食店が数軒ある。20代の初めごろ、往年のハリウッド映画を模した店に通ったがその後、レストランに変わってしまった▼昨夜、いわきに支社支局を置く各社記者たちと懇親を図る会に出席した。会場はかつて、その屋号とともに威容を誇った老舗の蔵の中にあった。重厚な造りのため、過去に敷地内で起きた非業の火災にも耐えている▼会は異動時期でもあり、送別が主になった。各自のあいさつでは震災取材に携わったことが多く語られ、報道人の意気が感じられた。集まった記者の中には、発生当時いわきでの震災経験者は多くないが、それもめぐり合わせである▼本来ならその場にいるべき同僚がいない。こちらよりはるかに彼らと時間を共有したのだが、3週間前に突然旅立ってしまった。「ずいぶんお世話になりました」と生前の彼をしのび数人が声をかけてきた。お開き前のあいさつでは「健康に気をつけて」としが言えなかった。