2016.08.05
写真家土門拳氏の主張〝絶対非演出の絶対スナップ〟が頭をかすめることもあるが取材時、絵作りを考える。いい写真を撮りたいがため、相手にごく簡単なポーズをお願いする▼先の都知事選で勝利した小池百合子氏。初登庁後、居並ぶ報道陣らを前に、やや緊張気味に都連幹部らにあいさつした。互いに会釈程度で終わろうとした時、記者からスリーショットの注文が寄せられた▼途端、要望に従うつもりはないと拒否した幹部連。居心地悪そうにその場を去った新都知事。対立候補といえ、満座の席で恥をかかされたも同然だろう。さて人情に厚かった田中角栄氏だが、あるとき新幹線で野党議員の一団と乗り合わせた▼つかつかと歩みよると「委員会では君に痛いところを突かれたなぁ。皆さん、もし彼が自民党にいれば三役、閣僚の器ですよ」と一席ぶった。野党議員、このあと大いに株を上げたという。拒否場面を見て、この度量ある態度を思い出した。