2017.04.08
この半月の間、それまで自活していた87歳の老父母が相次いで体調を崩し、入院したり自宅療養するなどしたため、にわか介護をするようになった▼幸い寝たきりではないから、同居する自分は食事をつくり、入浴の介助をするのが主な役目。ほかの家事や病院への見舞い、老人福祉施設との交渉や介護に必要な役所への手続きなどは、一緒に暮らす娘と市内にいる姉との3人の共同作業でこなしている▼友人の家庭では老父母の介護に当たってきょうだい間で骨肉の争いがあった。老老介護に疲れ果てて悲劇的な結末を迎えたり、遺体を放置するというニュースもよくある。わが家とてこれからが正念場になるのだろう▼いいこともある。同じ屋根の下で暮らしながら親とは疎遠だったこれまでと違い、じっくり話をする時間が増えた。58年間受けた親の恩は数えきれないが、それでも「面倒かけてすまないな」と言われる。残された期間、必死に恩返しをする毎日である。