2017.06.23
かつて自民党内に最大派閥を率いた田中角栄氏。衆参両議員、秘書にいたるまで、その結束力の強さは「鉄の軍団」と称された▼田中支配にくさびを打ち込んだのが、昭和60年に起きた子飼い竹下登氏の創生会旗揚げ。極秘裏にことが進み、さしもの親分にも情報が届かなかった。怒り心頭で切り崩しに出たが心労がたたり発病、のちに政界を引退した▼田中氏が派閥維持に力を注いだ背景には、いま一度の首相復帰があったという。当時の現状では、刑事被告人にその可能性はゼロに等しい。だが当人のエネルギーは他を寄せ付けなかった▼9月3日告示、10日投開票のいわき市長選。ここにきて混迷の様相を呈してきた。現職、新人に加え前職が名乗りを上げる見通しだ。市制施行当初の保革対決から、どこでどうねじれたか同党内での分裂状態が続く。政治権力の維持、奪取こそ選挙の本質。各陣営がヒートアップするのはよいが、市民生活を守るのが行政の宿命だ。