2017.07.27
アメリカ、トランプ大統領就任以来「フェイクニュース」という言葉をよく耳にする。自分に都合の悪い記事をそう呼んでしまっている感もあるが、報道に携わる者として看過できない問題だ▼大統領の発言としてはあまりにお粗末だが、その背景に、ネット社会の弊害ともいえる、無責任な書き込みの氾濫があると言ってもいい▼そもそもマスコミは、「ペンは剣よりも強し」に代表されるように、論評は、武力や権力をも打ち砕く。いわゆる正義のもとに成り立っている。ただし、偏りのない公正な論評が前提だ▼ただ、その言葉の原点、劇作家リットンの戯曲「リシュリュー」によれば、ペンは書類にサインすることを意味し、反旗を翻す者に対して「令状(逮捕状や死刑執行の命令書など)にサインする」とあり、脅しともとれる解釈がある。つまり正反対の意味も持ち合わせているのだ。表現は自由だが、「ペン」の使い方を誤ってはいけない。これがマスコミの使命。