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2021.03.26

例年のことだが時節柄、人事異動の報道が続く。関連はないが、20代前半の頃だった。アルバイト先の会食の席上、初めて酒を飲み、苦しんだ時の事を「人事不省(ふしょう)になりました」と話した▼少し間を置き、年配の男性上司が「そう、人事不省(ふせい)になったの」とやんわり訂正してくれた。状況は違うが以前、その職場で「やぶさかでない」を「やぶかさでない」と言い放った▼隣にいた年上の女性が間違いに気づき、笑いながら「若い時は注意してくれるけど、年長になると誰も言ってくれなくなるよ」と。覚えたての単語をよく理解せず披露したことを思い出すたび、恥じ入る▼取材する立場になると、あいさつの場面がよくある。ごくたまにだが、いい大人が「はにころもきせぬ、けんけんがくがく」などと発すると妙な気分になる。言葉を巡ると意味はもちろん、表現、伝え方次第で対人関係に影響を及ぼす。舌禍などはいい例である。

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