2022.11.15
葬儀場の一角で故人の生前を偲ぶ写真がスライドで紹介され、自然と目頭が熱くなった▼お世話になったのは20年以上も前のことだ。取材現場に限らず、酒席でも20半ばの生意気な猪武者の言葉を飲み込み、優しく諭すかのように人生訓を語ってくれた。酒が進むと顔を真っ赤にし、戦時中、背中に負った刀傷を男の勲章とばかりに披露する。奢りではなく戦争の愚かさを戦争を知らない世代に伝える、教育者としての側面を垣間見た▼薬局を営む傍ら、地元青年会や商店街の活動に取り組み、勿来の発展を願い市議を5期勤め上げた。好々爺然とした笑顔の一方、幾度も修羅場を潜り抜けたのだろうその佇まいから、底知れぬ凄みを感じた。故人を超える偉人にはいまだ出会えていない▼間宮俊彦氏は地元に限らず、多くの市民の憩いの場となっている鮫川河川敷公園の礎を築いた。犠牲になったタヌキを鎮魂するために建てた塚が、間宮先生の人となりをあらわしている。