2022.11.16
「ラグビーは人生の縮図」――昭和50年代のラグビー界で名司令塔として活躍した元日本代表SO松尾雄治さんの言葉だ▼チームには力士やプロレスラーのような大男もいれば160センチそこそこの華奢な選手もいて、わが身を犠牲にして痛みを伴うタックルに遭い、大勢に押しつぶされて必死にボールを確保する。「今行くから待ってろ!」と疲労困憊になってもフォローに走る。それでいて後ろにパスしながら前進するという不条理▼サッカーでは、ゴールを決めた彼は派手なパフォーマンスで喜びをアピールするが、ラグビーなら彼はうつむき、照れくさそうに仲間の祝福を受ける。オレはみんながつないだボールを最後にトライしたにすぎないからね、と▼人間は一人で生きられないし、いろんな個性を1つに融合させてこそ成功へつながる。そこに自己犠牲や思いやりは欠かせない。日本代表チームの多国籍化も現代の社会を投影していよう。そういう見方も面白い。