2023.03.30
この街で武士も商人も町人も、生活を送っていたと思うと胸が躍る。市暮らしの伝承郷で、企画展「磐城平城の絵図と城下の年中行事」が開催されており、江戸時代の平の様子に触れられる▼奥州磐城平城下絵図に、興味深い記述を教えてもらった。延岡に移った内藤家が、磐城平を懐かしんで作らせたもので、取れた魚に合わせて税を徴収する「濱々拾五分一(はまはまじゅうごぶんのいち)役所」が、領内の7カ所の浜に置かれたことが分かる。場所はいまの小名浜、四倉、中之作、薄磯、江之網(久之浜)、仏浜(富岡町)、山田浜(楢葉町)とある▼磐城七浜と言えば、勿来、小名浜、永崎、豊間、薄磯、四倉、久之浜が一般的だが、特定の場所を指さず、たくさんの浜や港を意味するとの説もある。新しい磐城七浜の登場に歴史ロマンが広がる▼1枚の絵図から、当時を生きた人たちの息吹が感じられる。企画展にとどまらず、地域振興に役立てるためにも、郷土史を掘り下げる良い機会に昇華してほしい。