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『囚われの山』

著 者:伊東  潤
出版社:中央公論社
価 格:968 円(税込み)

八甲田山雪中行軍遭難をめぐる取材で浮かぶ謎…
 明治三十五年一月、青森の歩兵第五聯隊第二大隊が、八甲田山にて雪中行軍演習中に遭難。参加者二百十名のうち、百九十九名が命を落とすという大惨事に見舞われた。
 この事件の特集を組むことになった雑誌「歴史サーチ」の編集者・菅原は現地に赴き取材を行う。そして実際のルートを辿り、丹念に資料を掘り起こす作業のなかで、この雪中行軍に隠された本来の目的に気づく。
 特集は成功をおさめ、第2弾も任された菅原はさらなる謎を追う。それは当初、軍の報告書では二百名とされていた死者数が、最終報告書では百九十九名と書きなおされていること。本来の参加者は、実は二百十一名いたのではないか? とすれば、残りの一名はいったいどうして記録から葬り去られてしまったのか? 当時の状況を追体験し、謎を解明するため、冬の八甲田山に入った菅原は……。
 あまりに有名な日本史上最大の山岳遭難事件を題材に、八甲田山に囚われた男たちの悲劇を描く歴史ミステリー。実際にあったかもしれないと思わせるリアルな描写が、一層恐ろしさを際立たせています。
 (鹿島ブックセンター勤務)

※紹介する人:八巻明日香さん

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