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『虜囚の犬』 元家裁調査官・白石 洛

著 者:櫛木 理宇
出版社:KADOKAWA
価 格:858円(税込み)

心に負った傷跡。残酷な事件に隠された真実とは
 この物語の主人公である白石は、心の傷が原因で働けなくなった自称専業主夫の男性です。
 妹の家に居候し、辛い記憶から目を背けるように家事に没頭する日々を送る白石。そんな彼の元へ、ある日友人の刑事が訪ねてきます。白石は友人が捜査している犯人不明の殺人事件被害者が、家裁調査官として働いていた頃に白石が担当した少年の治郎である事を知らされます。
 しかし治郎は単なる被害者ではなく、悍ましい監禁事件の犯人である事が捜査中に発覚。自身の知る治郎からは到底想像も出来ない所業に違和感を覚えた白石は、事件の真相を知るため治郎の関係者たちに接触します。気弱な少年だった治郎は何故監禁事件を起こし、誰に殺害されてしまったのか。まことしやかに囁かれる「犬憑き」の噂が、謎に満ちた物語を更に混迷させていきます。
 ネグレクトやDV、いじめに性暴力……。心に様々な傷を持つ登場人物たちの心理と複雑な人間関係が絡み合う、生々しい狂気に満ちたサスペンスミステリです。
 (鹿島ブックセンター勤務)

※紹介する人:武田景佳さん

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