『新幹線全史』 「政治」と「地形」で解き明かす
著 者:竹内 正浩
出版社:NHK出版
価 格:1210円(税込み)
新幹線の誕生から新路線計画などの舞台裏に焦点
本書は、新幹線路線の成り立ちに焦点を当てた一冊となっている。
どのように新幹線の構想が生まれ、その後開業するに至ったのか。東海道新幹線開業は予想を超えた成功で、新幹線を取り巻く環境がどのように変容して現在に至ったのか。新幹線の路線経路、停車駅の位置や名称がどのような過程を経て決定していったのか。こういった点を徹底的に深掘りしている。
東海道新幹線が着工され、60年以上が過ぎた今も新幹線は建設され続けている。
本書の第一部では、明治時代の高速鉄道に始まり、最初の新幹線である東海道新幹線が誕生し博多まで延長開業する歴史や、線路が一直線ではなく曲線が続くのは地質や地形、あるいは政治家の介入など人為的理由なのか、興味深い内容になっている。
第二部では東北新幹線や上越新幹線を取り上げる。主役は田中角栄で、新幹線建設に果たした役割を検証している。
第三部では、オイルショック等で国の建設凍結からいかにして復活を遂げたか、北陸や西九州新幹線の未成区間問題や並行在来線問題など過去の歴史ではなく今後のリニア新幹線を含めた課題も取り上げている。
(ヤマニ書房本店勤務)
※紹介する人:高橋宏行さん