『ものがたり洋菓子店 月と私』 ひとさじの魔法
著 者:野村 美月
出版社:ポプラ社
価 格:792円(税込み)
疲れた心癒やすスイーツ優しく語られる物語とは
岡田七子は、仕事や恋人の事で悩みを抱えている。ふと、住宅地のはずれにケーキ屋がある事を思い出し、久々に行ってみようと足を運んでみると、そのお店があった場所に見た事のない綺麗な空色の壁が現れた。
リニューアルしたのかと思い店内へと入ると、燕尾服に身を包んだ男性に出迎えられ、ケースには、お洒落なケーキが美術品のように並べられている。出迎えてくれた男性は、店内にあるケーキ「ウィークエンド」の商品説明とそれにまつわる物語を静かに語り出す。
「仕事に行きづまる女性がおりました…」から始まる物語は、まるで自分の事を言われているかのよう。物語が終わり、自然とそのケーキを持ち帰りたくなって購入した七子が男性の肩越しに、カウンター奥のガラス張りの厨房を見ると、そこでは美しく清らかな女性が作業をしている…。
さまざまな悩みを持つ人々が、男性の語る物語と女性シェフの作る美しいお菓子によって心を解きほぐされていきます。作中のお菓子はどれも魅力的で美味しそうなものばかり。
心安らぐ甘い物語をぜひ、味わって下さい。
(鹿島ブックセンター勤務)
※紹介する人:馬上 菜緒さん