『猫目荘のまかないごはん』

著　者：伽古屋　圭一
出版社：KADOKAWA
価　格：792円（税込み）

個性派ばかりの住人たち自分らしく生きるとは？
　アパートの取り壊しで引っ越すこととなった主人公・伊緒は、友人の紹介で古びた木造建築で格安の家賃・２人の優しい男性大家が作るまかない付きの下宿屋「猫目荘」にやってきます。
　ここでは年齢・性別・職業も違う他の住人たちと食事を一緒にとらなければならないこと、お風呂も共同、で入居早々うんざりしてしまいます。父親の支配から逃れようと実家から飛び出してきたものの、自分がやりたいことは見つからず、ただバイトに行く日々の中で、旬の食材を使ったまかないと、ここで飼っている猫のボタンが彼女にとって唯一の癒やしになっていきます。
　猫目荘に住んでいる住人たちは「自分がやりたいこと」をして生活している個性派ばかり。食を通じて住人たちの様々な価値観に触れ、少しずつ心境が変わっていく様子や、自ら行動を起こしていく姿に勇気をもらえます。
　誰かが決めた常識や生き方に合わせる必要なんてない。いろんな価値観や生き方があっていいのだと語りかけてくれる作品です。
（ヤマニ書房本店勤務）

※紹介する人：猪狩千晶さん