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『ジョニ黒』

著 者:永井 みみ
出版社:集英社
価 格:1760円(税込み)

欠落した大人に囲まれて鬱屈した少年は旅に出た
 主人公は夏休み中の少年アキラ、舞台は1975年の横浜。アキラは普通の活発的な少年だがどこか大人っぽさがあり、対称的に母のマチ子は子供っぽさが残る大人である。時々どこからか拾ったオス(男)を連れてくるような、そんな大人。
2人にとって辛い過去がある。それは4年前、海水浴中にお父さんが逸れてしまい今も行方不明のままなのである。そんな過去はありながらも、母は新しいオスの日出男と付き合っている。日出男も子供がそのまま大人になったような、言わば「ヒモ男」。アキラはそんな母と住みながら日出男と友人のモリシゲ、飼い犬のクロらと遊ぶ日々を過ごしていた。
夏休み最終日、アキラは失踪した日出男を探しにクロと旅に出かける。この旅を通してアキラは暗い過去や窮屈な現在から明るい未来にするための成長をしていく。
 人生の中で欠落した大人とその大人に囲まれて鬱屈を抱える子どもに悲しみを感じ、その状況に自ら光を見い出す子供の姿に胸を打たれます。
 (鹿島ブックセンター勤務)

※紹介する人:小野久光さん

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