いのちを描く ボタニカルアートの世界(キバナコスモス)
秋、沿道にオレンジ色の花
立秋が過ぎて秋の気配が立ち始めた。未だ気温は高いが綿雲が現れ、夜にはかすかに虫の声が聞こえる。
近くの沿道に植えられた花々に交じってオレンジ色の花の一群が眼を惹く。調べてみるとキバナコスモスだと分かった。
キバナコスモスはメキシコ原産。キク科コスモス属の多年草で、花色は黄色やオレンジ、朱赤色などがあり、夏の終わりから秋にかけて咲く。
似た植物にオオキンケイギクがあり、同じようにコスモスに似た黄色い花を付けて野原や道端で見かけるが、花の時期は初夏だ。更に、キバナコスモスは花弁の先端が丸くなっているのに比してオキンケイギクは先端に角がありギザギザになっている。
識別が必要な訳は、オオキンケイギクはその強い繁殖力で在来植物を駆逐するので、法律で栽培が禁止されている『特定外来生物』に指定されていて駆除の対象だからである。両者共に外来種ではあるが固有種に及ぼす影響によって取り扱いに差がある。
近年、人間を含めた生物、物、文化など多くのものが広く移動しているこのグローバル化の波の中にあって、植物のみならず人間自身の固有性を保つのもなかなか難しい。