いのちを描く(シシユズ)
自然の恵みを神棚に供えて
庭にシシユズの木がある。10年ほど前、小さな苗を植えた。ひしめくように生えている種々の樹木の間で、枯れもせずに少しずつ成長していたが、昨年初めて花が1輪だけ咲いた。そしてなんと実まで生った。大きくなった実は正月、神棚への供え物にした。
今年、手入れ不足の庭は前年にも増して鬱蒼となった。シシユズの木は僅かな木漏れ日を浴びながら春に白い花を2つほど咲かせていた。日が経つにつれ実が生っているようなので、「今年は2個だ」と期待が膨らんだ。
はっきりしてきたのは8月以降で、枝葉の垂れ下がった先に深緑色の丸い実が見え始めた。実は日ごとに大きくなり風に揺れるようになった。11月後半になって気温が下がるようになり、色づき始めたある日、見るともなく揺れている実を見ていて気が付いた。緑色の葉の間に黄色いものが幾つか見える。いつも見ている垂れ下がった下枝の実、上枝の実、その陰にもちらと見える黄色い影――まさしく実だ。
そして中ほどの枝にこれまた実。驚いて庭に下りて確認した。さらに、その陰に半ばまだ青い実も生っていた。全部で5個! 高さ1・5㍍足らずの木が頑張って実をつけてくれていた。感激! 正月にはまた神棚に供えよう。