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ふるさと自然散策・いわき昆虫記109

豹紋蝶、初秋の草原に舞う

 平の市街地から見上げた「水石山」の山頂が涼しそうだ。車を走らせ、海抜735㍍の高地へ駆け登った。
 ワレモコウやツリガネニンジン、アキノキリンソウやオミナエシの可憐な花々が風にそよぎ、秋の鳴く虫たちの奏でる音色が心地いい。山頂一帯の草原を囲む林縁の遊歩道を歩き、虫を探した。
 オニヤンマが往来するが、夏の間を避暑に来ていたアキアカネは里地に降りた。アサギマダラも旅立った。セリ科植物が豊富にあるからキアゲハも多い。
 遊歩道を一周してスタート地点に戻ったら、様子が一変していた。歩き始めた時にはいなかった豹紋蝶が、アザミの花咲く草原を飛び回っていたのだ。
ヒョウ柄のように橙色の翅にこげ茶色の斑紋のあるタテハチョウ科のグループで、種類もさまざまだが、中でもコントラストの強い模様が印象的で個体数も多かったのが「サトウラギンヒョウモン」だった。
 幼虫はスミレ科植物を食べて育ち、成虫はアザミの花などで吸蜜する。水石山の草原は格好の棲みかなのだろう。成虫の出現期は6月だが、暑い間は眠って過ごし、9月に活動を再開する。この日は夏眠から目覚めたばかりだったのか。
 サトウラギンヒョウモンは里に棲み、後翅の裏面に銀色に輝く紋があるのが和名の由来になっている。いわきには、里地のみならず山地までの全域に、サトウラギンヒョウモンとその近似種「ヤマウラギンヒョウモン」が生息している。
いずれも、近年になって、従来の「ウラギンヒョウモン」から複数種に分類が見直された種類なので区別するのが難しい。標本を得ずに撮影画像から種を同定することの難しさを実感した。

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