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いわき昆虫記

ふるさと自然散策 いわき昆虫記99

―――オオウラギンスジヒョウモン

夏眠から目覚めて秋に活動

四倉町駒込地内の里山を散策した。
柿の実も色づき、季節は秋真っ盛り。雑木林に囲まれた田んぼは黄金色に染まり、稲穂がたわわ。上空を赤トンボが群れ飛ぶ光景は、里山の原風景のようだ。谷あいにこだまするモズの高鳴きや、行き交うオニヤンマやスズメバチが、生物相の豊かさを示してくれている。
秋になるとなぜか白い花に虫たちが集まるので、林縁に咲く花々を見て歩いた。ほどなく見つけたのが、日向に生育した大きなウドの白い花。小さな花が球形に集まったものがびっしりと咲き、虫たちを誘っていた。飛来していた昆虫の中でも、とりわけ活発に飛び回りながら花の蜜を吸いに群がっていたのが、「オオウラギンスジヒョウモン」だった。
オオウラギンスジヒョウモンは、タテハチョウ科の中でも橙の地色に黒斑の豹柄模様の翅を持つヒョウモンチョウ族の中型種で、翅を開いた時の大きさは7㌢ほど。大きな翅の裏側に銀色の筋状の斑のあるヒョウ柄紋の蝶というのが和名の由来となっている。
翅の表の豹柄模様は、本来、地面などにとまった時に天敵から身を守るカムフラージュなのだろう。が、白い花の上ではかえって目立つ。飛来していたオオウラギンスジヒョウモンのほとんどが、翅の輪郭がボロボロで、激しく傷んでいた。これは、初夏の頃に羽化した成虫が夏の暑さを避けていったん夏眠に入り、秋になって本格的に活動を再開したことによる長い期間を生き抜いた証だ。
幼虫は野生のスミレ科植物を食べて育ち、成虫は樹林地の周辺などで生活する森林性。近年の林地化した耕作放棄地などで個体数を増やしているのだという。

 

白いウドの花に集まって吸蜜していたオオウラギンスジヒョウモン

 

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