平窪の東日本台風まとめた記録誌完成 当事者の視点から見つめて
平窪自然塾(橋本孝一代表)は、記録誌「夏井川と共に生きる~令和元年東日本台風における夏井川下流平窪地区の水害に関する被害の実態と関連資料集」を発刊した。代表の橋本さんらは「被災の現場に住む当事者の視点でまとめた本。次世代への記録として残していきたい」としている。
同塾は2011(平成23)年の東日本大震災及び原発事故を受け、自分たちの生活スタイルを見直し、身近な自然環境の保全・改善に向けて、実践的に行動していくことを目的に、2017年3月に発足した。
福島高専名誉教授で、県、市の環境アドバイザーを務める橋本孝一さん、各種地区団体の役員等を務める草野誠さんら平窪の住民7人が発起人となり、活動をスタートさせた。
平窪の諏訪神社内にある「自然エネルギー学習施設」の維持管理を担うとともに、子どもを対象にしたサバイバルキャンプや、エネルギー教室などを開催。より身近な視点で、環境やエネルギー問題へ取り組みを展開してきた。
しかし、発足から2年後の2019(令和元)年、東日本台風が発生。夏井川が決壊した水害で、平窪地区が大きな被害を受けて以来、被害実態の調査・記録や次世代への継承も活動に加わるようになった。
同会のメンバーは直後から、複数回におよぶ現地調査を実施した。決壊箇所を地図に落とし込み、航空写真や周辺の環境を踏まえ、被災住民への聞き取りなども行いながら、河川決壊の原因や今後の課題を考察した。
全カラー83ページ。22部の限定出版で、非売品となる。いわき総合図書館で閲覧できるほか、興味のある人には無償でデータを提供する。